子供の頃、ミニ四駆にものすごく夢中になりました。
速いマシンを作るにはそれなりにパーツが必要なんですが、
小学生には買えないものが多くて「ちきしょー」と。
プラスチックの下敷きをカッターで切ってネジでマシンに貼り付けて、
空気抵抗を変えてみたりしていました。
子供の頃、バスフィッシングにものすごく夢中になりました。
釣れるためにはそれなりにルアーが必要なんですが(大ウソである)
小学生には買えないものが多くて「ちきしょー」と。
木の棒を削って金具を付けて、
穴を開けて重りを入れたり音の出る玉を入れたり、
全裸にゴーグルでお風呂に潜って糸を結んだルアーを手で引っ張って泳がせて、
「魚にはどう見えてるんだろ?」って考えたりしていました。
親の目に息子はどう見えてたんだろ
って今、考えさせられて恥ずかしくなりました。
おばんです、恥ずかしいイガリです。
ないところから始まる子供だったなと思うんです。
ないからあるもので作る。
まず作ってみるってことが最初に来ていたんですね。
祖父も父も作ることが多かったと思います。
子供ながらに作ることが身近で、楽しくて、難しくて、
その経験をしたからこそ今に繋がっているのかもしれません。
「ある」ものに手を加えることで、ガラッと変わるってワクワクしませんか?

団居はこのお家の前で、ワクワクし過ぎて呼吸を忘れていた。
荒町Iさんちリノベーション工事。
お子様の学区が変わらないよう住んでいたエリア内で物件を探し、
団居を見つけて声を掛けて下さいました。

ワクワクし過ぎて常駐してしまい、ついには「大工さん」と呼ばれる
いま「ある」ものをどう活かすか、どう手を加えるか。
そんな「ある」ものを探すことから始まるんです。
リノベーションはまさにミニ四駆。
リノベーションはまさにバスフィッシング。
予測をしつつも、想定外があることもリノベーション。
工程管理に支障が出ないよう、日々判断の連続で刺激的な毎日だったのです。
「イガリ君、バタバタしないでアイス食べっぺや」
「うるさ…..いただきます」
僕のメンタルコントロールをしてくれた大工さんに感謝でございます。

でっかい石が出てくる。これがリノベーションです。
建築工事はちょうど夏で、外水道で水浴びをして帰る毎日。
新築と違い、思うように進まないことも多いので、工事はより大変なんです。
でもそんななか言った、大工さんの言葉を今でも覚えていて、
首がポロっと取れるんじゃないかってくらい頷きました。
「完成したらIさん驚くだろな」
何の気なしに言った言葉だと思うんです。
でもすごく大切な思い。
僕たちみたいな仕事をする人にとって原点だよなぁと。
お施主さんに喜んでもらいたい、良かったと思ってもらいたい。
驚いてもらいたいし、感動してもらいたい。
そこに自分(達)の思いを少しでも乗せて届けたい。
建築って大変じゃないことはないってくらい大変ですし、
ぶつかることもあってトラブルも起きるし、
人ですからイライラすることだってあります。

昨日の敵は今日の友である。
ただ、「大変さ」を最前線で真っ向から引き受けている大工さんから
この言葉を聞けたのは、すごく安心したんですよ。
「めっちゃ分かります」
だったんです。握手したかったくらいです。

下校してきた子供たちの声が休憩の合図だったり。
まぁ次の日には、
「材料足んねえぞーー!!」
「足りるって言ってたでしょーが!!」
って応酬が始まるんですけどね。ははは。
でも大丈夫なのです。
我々は同じ思いでモノづくりをしているのです。(喧嘩はするが)

「やり切った…」が何よりも大切なのである。
「Iさん絶対驚いてくれる」
って確信しながらの帰り道。
車の窓を全開にして風を浴びるあの心地よさ。

「ある」ものを探すって楽しい。
団居ではリノベーション工事も自分たちらしく関わらせて頂きます。
「喜んでほしいな」という思いで頭を悩ませプランを練り、
「感動してほしいな」という思いでコーディネートを提案し、
「驚いてほしいな」という思いで僕たちは大工さんにもなります。
僕たちは大工さんにもなります
工具を持ち、汗をかき、粉にまみれ、
図面を描き、指示を出し、お茶を買い、
クタクタで現場に寝転がり、笑って、現場のカギを閉め。
団居の仕事はこんなことの連続。
好きだからこそ続けられているのだと思います。
また次の現場でも、
「大工さん、コレどこに置けばいいです?」
って運送屋さんに間違われちゃうのだろうか。
それが少し、嬉しかったりもするんですけどね。