先日息子とバスケをしている時の話です。
どのスポーツもそうだと思いますが、試合って緊張しますよね。
普段の練習のようにはいかなくて当たり前。
練習は試合のように、試合は練習のように、だなんて言います。
おばんです、試合は8割減イガリです。
よしフリースロー練習だ!と。
さぁ残り時間はありません!イガリ選手!
決めれば勝ち!外せば負け!果たしてどうなる!?
89ersのホームゲームでは、フリースローチャレンジという企画があって、
会場にいる子供が一人選ばれて、
試合の合間に大観衆の前でシュートを打つんです。
いつも「ど緊張するだろなぁ」と眺めつつ拍手しているんですが、
あれだ!あのくらいの緊張感を意識しろ!と息子に喝を入れたりして。

日曜ゲームに行ってまいりました。
イガリ家の楽しみ、89ersの全力応援。
なんだかもう何度も言って申し訳ございません。
ぜひぜひ会場に来てあの盛り上がりを体感して頂きたいんですもの。
会場入りは安定の試合開始2時間前。
席に着き、まだ埋まる前の会場を見渡して、
今日はここからか….うむ。
ワタクシは水。
息子はアイスココア。
妻はレモンサワー。(え?)
ウォーミングアップする選手たちを間近に見つつ、
高ぶる気持ちを声に乗せて選手に届けます。
カルバー!!セルジオー!!ブーバ!!ネイサン!!
仙台を選んでくれた外国籍選手は我が家の推し。
妻は知り合いのブースターさんと写真を撮りに消え(すごいコミュ力)、
父子でお手製の応援ボードと選手タオルを掲げてワイワイ。
気づいたら手を振ってくれるんですよ。
息子は(僕も)(妻も)それが嬉しくて、選手が大好きなんです。
試合開始15分前、妻が帰ってきました。
これで安心して行けます。
ちょっとトイレ行ってくる。
※過去ブログ参照
試合前に会場のボルテージが上がりだす高揚感。
それを感じながらスタスタと会場内の通路を戻ります。
我が家の席は通路の下、階段を少し降りた2階席。
おや?

お父ちゃんの席に知らないお父ちゃんが
だ、誰だ!?
あれさっきそこに座ってたよね、ワタシ。
息子の肩にタオル掛けた記憶はあるから彼は息子だ。
そ、その席はワタシの席のはずだ。
これは一家の一大事だ。守るべきものがある。
いま守らねばいつ守る?
(すいません続けますね)
あ!席を離れた!何者だったんだ!
危うく飛び込むところだった、紙一重だ。
あと一歩遅かったら大事件だった。
「何事だったんです?」
妻と息子に聞きます。
息子は何だか表情が固い。
こ、これは何か毒を……
妻:フリースロー選ばれた笑
父:オーマイガッ
え、本当に?
だって家で話してたよ?こんなことある?
息子の表情にも合点がいく。
4300人の大観衆の前で、まして大好きな選手たちの前で、
シュートを打つだなんて夢にも思っていなかったはずだ。
お父ちゃんは何もアドバイス出来ない。
だってイガリ少年は当時、お母さん達の前でしか打ったことがない。
保護者達が見つめる前でしか打ったことがない。
そんなレベルですら、イガリ少年達はど緊張してシュートしていた。
まして4300人….規模が違い過ぎる。。。
※応援が熱い父子さんだったので声を掛けたとのこと。
名前書いたからパパも行くんだよ
なんですと?
4300人の大観衆の前でシュートを打つ息子、の横に立つ?
スポットライトがビカーン!と当たる息子、の横に立つ?
よっしゃまかせろと。
いいか、こういうのはどっしり構えていくんだと。
堂々と胸張ってコートに入るぞと。
父ちゃんについてこい、まかせろと。
第一クォーター残り5分になったらコートサイドに集合とのこと。
父は願う。
一生残り5分10秒で止まってくれ。
息子に謝ります。
選手のシュートが入れと手を合わせたのでないと。
時計よ止まれと願ったのだと。
そんなこの世の理を超越するようなことは出来ませんから、
イガリ父子は妻を残し旅立つのです、あのコートサイドへ。
いつも盛り上げてくれるMCさん、チアリーダーさん、スタッフさん、
皆さんから丁寧な説明を受けつつ第一クォーター終了を待ちます。
「大丈夫!決められるよ!」
「みんな緊張するから思い切ってね!」
「楽しみましょう!」
ハイッ!!
父が大きく返事をする。
父はシュートを打たない。

ここに立つ息子、の横に立つだと….
緊張感は最高潮に達し、あれほどの大歓声が耳に全く入らない。
というか試合が全く頭に入らない、記憶にない。(ポンコツ父)
「さぁ本日のチャレンジはイガリファミリーです!!!!」
チアの「行きますよ!」で我々は大きな黄色い渦に飲まれたのです。
視界がチカチカとチラつき、父が溺れそうになる。
息子は大丈夫か!
歩く息子の顔をそっと見る。
堂々としてどっしり男前。
(や、やるじゃないか)
「お兄ちゃん!お名前は!?」
「ユウトです!」
いいねいいね、表情が素晴らしい。
「お父さん!お名前は!?」
アキヒサですっ!!
すいません、この歳になってですね、
結構大きな声で名前だけ言ったことありますでしょうか。
こんなに恥ずかしい気持ちになるんだって衝撃でした。

ティナに肩を揉まれるチャレンジャー
そんな父の感情なんぞどうでもよい。
2分間のインターバル中の企画のため、次々と事が運んでいく。
チャンスは3回だ。
3回成功で1万円、2回は7千円、1回は5千円。
ビッグビジネスだ。
ボールを渡された息子の顔は落ち着いていた。
父と良い対比になっていて、落ち着きがより強調されている。
3、2,1のカウントダウン、鼓動が高鳴る(父の)。
弧を描いたシュートは美しくリングに吸い込ま….れなかった。
くそう!大丈夫だ!修正していくぞ!
今日の午前中に予行練習をたまたましたじゃないか!
やれる!お前ならできる!父ちゃんは出来ない!
2本目。
弧を描いたシュートは美しくリングに吸い込ま….れないものの入った!
ナイスだ!入ればいい!どうだ!これがうちの息子だ!
4300人の前で完全なる親バカを発揮して浮かれる父をよそに、
彼はリングを再び見つめていた。
取り乱しました。

頭が真っ白ぽかーんの父
3本目。
一呼吸置いて肩の力を抜く。
自分のルーティーンをこの大舞台でも変わらず行う。
弧を描いたシュートは美しくリングに吸い込まれた。
リングに触れることなく、ネットだけを揺らして。
あ、あなたやるじゃん….
大歓声が送られていたのは後から聞いて知ったこと。
それほど異様な空気の中での出来事だったのです。

会場にいた方から頂いた写真
隣の席のお父さんが「ナイスシュートだった!!」と迎えてくれました。
たまたまいた僕の同級生が「ユウトすごかった!!」と言いに来てくれました。
息子のお友達家族も「ユウトくん選ばれたの!?」とメッセージをくれました。
前半戦の記憶は全くありませんが、緊張感から解き放たれた父子は、
快勝を飾ったこの試合を誰よりも楽しみました。
誰に言われるでもなくワイワイ好き勝手にやったことですが、
一生懸命選手を応援するために声を出したからこそ得た機会。
頑張ったら誰かが見てくれてるんだね。
選ばれた時は不安だったけど、挑戦してよかった。
そう話した帰り道、少し息子の背中が大きく見えました。
中学生、体格はあっという間に変わっていきますが、
心が大きくなったと感じる1日となりました。
俺なら全部決めてた。
父の心が大きくなるのはいつの日か。
我が家は今日も平和です。