石焼き芋ってスーパーで売っていますよね。
野菜売り場の手前あたりで温められて売っているところを見たことがあります。
100円とかそのくらいなんでしょうか?
自分が子供の頃も、同じようにスーパーで売っていたんですかね。
親に頼んで買ってもらった記憶がありません。
石焼き芋って特別ですよね?
石で焼いた芋ってだけで、なんだかとっても価値があがって子供ながらに特別なものを食べているワクワク感がありました。
高級な品種があるだなんて知識はもちろん無かったし、甘くて美味しいっていうこともありますが、
「いつもと違う体験」って言ったら少し大げさか…でもそんな感じです。
※トム&ジェリーに出てくるお肉が世界で一番美味しいはずだと僕は思ってます。わかる方いますかね笑。
子供の頃の記憶はとっても影響力あります。
先日、息子が「石焼き芋屋さんの音がする!」と言いました。
きっと今までも、寒くなる季節にやって来てくれていたんでしょうけれど、大人の耳にその音は入ってきていなかったんですね。
「おー懐かしい、よし買いに行こ!」
21時前くらいだったでしょうか、息子にフリースを着せて、なぜか僕は薄着で笑。
外に出ると微かに音が聞こえますが、車は見えません。
「あっちだ!」
二人小走りで音を頼りに追いかけます。石焼き芋屋さんは公園の脇で、おばさんに焼き芋を渡しているところでした。
よし、捕まえたぜ。と二人で安心し、切らせた息を整えて一言。
「焼き芋1本ください!」
するとおじさんが、
「ごめんなさい~!!売切れちゃったんです…….。」
なななななななーーーーーーーーーんと!!!!!!!
もう一回。
ななななななななななななーーーーーーーーーんと!!!!!!!!
なんたる不運。
息子の曇った表情に、何とかしてあげたかったのですがこればかりは…..。
おじさんも申し訳無さそうで….。
「次はいつ来ますか??楽しみに待ってますね!」が精一杯でした。
帰り道、肩を落とす息子に、
「残念だったけど、次は音が聞こえたらすぐ走っていこう!」
「うん…..。」
…………。
うーむ…つらい。
すると、トボトボ歩いている僕たちの目の前に自転車が止まったのです。
「私一人じゃ食べ切れないからさ、お兄ちゃん半分食べてくれないかな?」
…………。
夜空が涙で霞む….。
最後の焼き芋を買ったおばさんが、落ち込む息子に声を掛けてくれたのです。
一瞬あっけに取られていた息子の顔に、石焼き芋屋さんを追いかけていた時と同じ満面の笑みが戻りました。
「ありがとうっ!!!!!」という息子の横で、
「お金払います、本当に払います払います。申し訳ないです本当に本当に。」とものすごく現実的な話をしました、ハイ。
「すごく優しいおばさんだったね。」
「優しくされて嬉しかったでしょ、だから〇〇もみんなに優しくなるんだよ。」
温かい焼き芋を歩きながら食べる息子に話します。
こういう経験は必ず彼の記憶に残るだろうなぁと思いながら。
石焼き芋は1本400円。
スーパーで買うよりも3倍近くするんでしょうか。
でも、
あの音を聞いてワクワクして、寒空の夜に街灯に照らされながら走ったり、ほわぁと光る赤い提灯も、
お店のおじさんとおばさんが笑顔で話す姿も、買えなくて残念だった気持ちも、優しい声も、
そしてそのあとに歩きながら頬張った焼き芋の美味しさも。
僕にとっても息子にとっても本当に心に残る石焼き芋です。
残しやがったけれども!!!!
おばんです、イガリでした。